特定公社債等の課税方式が改正されています。
こんにちは。
税理士のさかいえりかです。
特定公社債等の課税方式が改正されています。主な改正内容は以下のとおりです。
(1)利子所得の課税制度の改正
居住者等が国内において支払を受ける利子等については,15%(他に復興特別所得税及び個人住民税5%)の税率による源泉徴収のみで課税関係が完結する分離課税(源泉分離課税)により課税することとされていましたが,平成28年1月1日以後の支払を受ける次に掲げる公社債等(以下特定公社債等といいます。)については,源泉分離課税の対象から除外されています。
① 特定公社債(国債,地方債,外国国債,公募公社債,上場公社債,平成27年12月31日以前に発行された 公社債(同族会社が発行した社債を除きます。)などの一定の公社債)の利子
② 公募公社債投資信託の収益の分配
③ 公募公社債等運用投資信託の収益の分配
④ 特定公社債以外の公社債のうち同族会社が発行したものに係る利子で同族会社の判定の基礎となった一定の株主及びその親族等が支払を受けるもの
なお,上記①から③までの利子等については,株式や公社債等の譲渡損失との損益通算を行うことができるようになり,15%(他に復興特別所得税及び個人住民税5%)の税率による申告分離課税又は申告不要を選択することができます。
また,上記④の利子については,総合課税により申告することとなります。
(2) 譲渡所得の課税制度の改正
改正前の公社債等の譲渡益は非課税とされ,譲渡損失はなかったものとみなすこととされていましたが,税制改正により株式等と同様に譲渡益課税の対象とすることとなりました。ここで,公社債等を上述した特定公社債等とそれ以外の公社債等(一般公社債等)に区分し,特定公社債等を上場株式に含めて「上場株式等に係る譲渡所得等」として,一般公社債等を上場株式等以外の株式等(一般株式等)に含めて「一般株式等に係る譲渡所得等」として,それぞれ別々に申告分離課税の対象とすることになりました。なお,この改正は平成28年1月1日以後に行われる譲渡から適用されています。
(3) 譲渡損失と利子所得等の通算及び繰越控除
特定公社債等の譲渡損失及び利子所得等について,次のとおり損益通算及び繰越控除の対象とされています。
① 上場株式等の譲渡損失及び配当所得の損益通算の特例の対象に,特定公社債等の利子所得等及び譲渡所得等が加えられ,これらの所得間並びに上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択したものに限ります。)及び譲渡所得等との損益通算が可能となっています。
② 平成28年1月1日以後に特定公社債等の譲渡により生じた損失の金額のうち,その年に損益通算をしても控除しきれない金額については,翌年以後3年間にわたり,特定公社債等の利子所得等及び譲渡所得等並びに上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択したものに限ります。)及び譲渡所得等からの繰越控除が可能となりました。
平成28年中に株式等の譲渡損益がある方は、確定申告の際に、ご注意くださいね。
酒井江吏香税理士事務所